被膜形成剤の重要性|ボールディーズとスーパーボールディーズって?

シリコーン(ゴム)アプライエンス(器具)には、被膜形成剤が必要です。

*アプライエンスとは;
人工皮膚パーツ、傷パーツなど、肌に貼りつける全ての補綴物に対して、メーク業界では総称してアプライエンスと呼んでいる。

アプライエンスは、皮膚に貼りつけた際のエッジをいかに肌に馴染ませれるかが重要になります。

*エッジとは;
アプライエンスと皮膚の境目のことをメーク業界では、エッジと呼ぶ。

アプライエンスには下記のような様々な素材が存在する。

  • フォーム アプライエンス
  • ゼラチン アプライエンス
  • プロスエイド【プロタック】
  • シリコーン アプライエンス

全てに共通しているのは、エッジをより薄く作成する。
そうすることで、皮膚への装着した境目が分からなくなり、仕上がりも作業効率も大幅に上がるため。

シリコーンアプライエンス以外は、エッジをはじめから薄く仕上げることができたり、手でちぎったり、エッジを溶かしたりすることができます(今回は被膜形成剤の案内のためシリコーンアプライエンス以外の説明は省きます)。

シリコーンゴムは、手でちぎったり、溶かしたりすることができません。
ちぎろうとすると、シリコーンゴムはのびて想定して無い箇所が切れたり形が変わってしまいます。
シリコーンゴムは、肌に影響のあるシンナーやベンジン等でも溶かせません。
ハサミでカットした場合は、エッジが綺麗に切り取られるため(尚且つ厚みも目立ち)、綺麗(違和感のある)なエッジが出来上がり境目が目立ちます。

金型のエッジをどれだけ薄く作り上げても、シリコーンは粘性があるので金型の薄いエッジ部分に均一に流し込むことが難しく、エッジが無い箇所やエッジに厚みが出るなどの不具合も。

そこで、シリコーンの代わりに薄いエッジを作り出すために被膜形成剤が必要となります。
下記写真の薄い膜が被膜形成剤です。トップ画像の引っ張っている膜も同様です。

被膜形成剤は2種類。

それぞれ専用の溶剤で希釈して使用します。エアブラシ機器で吹き付けて被膜を作成して下さい。
刷毛やスポンジで塗ることもできますが、被膜力や薄さはエアブラシの方が安定します。
コンプレッサーは圧力が高いタイプの【TC-620xコンプレッサー】、エアブラシガンは、吹き付けが変更できるタイプの【GP-850 エアブラシガン】か、価格の安い【PA-100 エアブラシガン】がお勧めです。

ボールディーズアセトンで希釈

スーパーボールディーズIPAで希釈。

希釈した被膜形成剤を金型にエアブラシで吹きつけます。
金型に石膏を使用した場合、被膜形成剤が入り込みシリコーンゴム側に定着しない場合が多いため、しっかりと離型剤を使用して下さい。また、使用するシリコーンにより被膜形成剤がうまく定着しない場合もあります。その場合は、シリコーンを変更したり、接着剤の使用や金型を石膏から別の素材に変えたりしてください。・・・・別記事【シリコーンに最適な金型は?】を参照

エアブラシで吹きつける場合、7層~10層が目安ですが、希釈量やエアブラシ機器の圧力によってはもう少し積層する必要があります。実験をして最適な方法を導き出してください。

被膜の引っ張り強度は、希釈量、積層具合により強度が変わります。

次のページで、被膜形成剤の利点等を説明